いよいよ、待望の「ライフロング・キンダーガーテン」が手元に届きました!
昨年9月に出版されたLifelong Kindergarten — Cultivating Creativity through Projects, Passion, Peers, and Play の邦訳です。
原著はとてもシンプルで読みやすかったですが、さすがに日本語だともっと読みやすい。さらりと読めました。頭の中でなんかしっくり来ない気がして原文はなんだっけ?と考えてしまう箇所もありましたが。自分の意訳がズレてただけだー。たぶん。
原著は真っ黒に銀文字でカッコ良い装丁。日本語版も負けずに気合の入った真っ白い装丁で迎え撃つ。
帯の煽りが良いです。
表:プログラミング必修化の今こそ必要だ!プログラミング言語「スクラッチ」の開発者が世に問う、人生100年時代の新しい教育論
裏:小学校のプログラミング教育に賛成の人も反対の人も読まずして語れない。開発者自身がいま明らかにするスクラッチの真の目的。
読むとわかるのですが、中身的には、プログラミングやスクラッチよりもどちらかといえば、「新しい学び」の話しです。
日本語版には、MITメディアラボ所長の伊藤穰一(通称Joi)さんの序文が添えられていています。さらに補章として村井裕実子さん、阿部和広さんの文章が追加され、「学校が創造性を殺している」というTEDトークがあるSir. Ken Robinsonの序文をさらに強化。穏やかなMitchel Resnick教授の論調を応援団が煽っているかのような感じがします。革命なのだ!反体制なのだ!
まぁ、ご本人も講演会で一つ前のスピーカーの内容を自分のトークに取り込んで、聴衆に違いを問いかけたりする鋭さはお持ちのようですが。
ピアジェの構成主義、パパート構築主義、Logo言語、タートルグラフィクスのところから、レゴ社とのマインドストームズ共同開発、スクラッチ誕生まで。そして、スクラッチはただのプログラミング言語ではなくて、開発環境でありコミュニティであること。学校教育の変革(無駄な抵抗)よりも、コンピュータークラブハウスという学童保育的な活動に力を入れて来た様子もわかります。
さらに、その前段として、フレーベルの幼稚園「大発明」、モンテッソーリ教育、レゴブロック誕生も語られています。
原著を読んだ時に一番ビビっと来たのは、この前段部分です。ははぁ、なるほど、と。
源流から今までの流れを振り返り、スッキリ整理して、さぁ、これから「創造的な学び」をScratch 3.0と共にガシガシと進めるぞ!ということなのかな。と受け止めています。
イスラエルやスエーデンから周回遅れで、ようやくここまで来たアメリカ。日本はようやくサーキットに到着したぐらいかな。でも、このタイミングでこの本が出版されたことはとても良かったと思います。
このところ、新年度の計画を立てていて、バタバタです。落ち着いたら各章のポイントをまとめます。理想と、それにどう現実的に向かっていくか。